レイトレ合宿9に行ってきました

とんでもなくお久しぶりのブログの更新です
タイトルの通り9月1日〜3日に行われたレイトレ合宿9に行ってきました!

個人的には2018年のレイトレ合宿7以来の現地参加です。 コロナウィルス流行での休止期間を含めて実に5年ぶり。 前日に荷造りしながらお馴染みの欺瞞Tシャツを出してみたら状態が悪くなっていてびっくりしました。 年1くらいは洗濯しないとダメですね。

さて今年の会場は千葉県鴨川、清澄寺。 なんとお寺です。 いくつか島を巡って沖縄まで到達してからのお寺。 精神的な強さとレイトレの強さは相関関係があるから(要出典)、というらしいのですが驚きのチョイスです。

さて当日、電車組はJR千葉駅に集合して外房線安房天津へ。 『あわあまつ』と読むそうで、着くまでに通った駅にもちょっと不思議な読みの駅名が多くて歴史を感じます。

安房天津駅はそこそこ大きな割には無人駅でした。 レイトレ合宿のために増便をお願いしたというコミュニティ交通のマイクロバス2台に分乗して現地へ。 結構な上り坂の道を走って最寄りのバス停に到着。 なんと山の上から海が見えます。

バス停から少し歩くと山門が現れました。今年の会場の清澄寺に到着です。

ホームページに歴史がありますが、1200年前にできて800年前に12歳の日蓮が入山し、後に日蓮宗を開宗したという日蓮宗大本山だそうです。 ご本尊は虚空蔵菩薩。知恵の菩薩様とのこと。
知恵の菩薩が祀られた日蓮宗屈指の霊場
レイトレ合宿にピッタリかもしれません。

すぐにセミナーの予定だったのでそのまま研修会館という建物へ。 これがかなり立派な施設で、地下のセミナールームではWiFiも飛んでいました。

そして運営一行の車にトラブルが発生して主催者が遅れるというレイトレ合宿初のハプニングを挟んで最初のセミナーがスタート。

まずは参加者それぞれの名前と好きなレイトレアルゴリズムを語る自己紹介から。 私はフォトンマップ系と言いましたが、上位層にはシングルパストレが人気。というかそれが最強という境地に辿り着くそうです。

セミナーは前回から参加者全員なにか喋るのが必須になっています。 そのため数が多いので箇条書きで軽くご紹介。敬称略で、あれば資料へのリンクも。

ここでは本当はもう1つうしおさんのセミナーが予定されていたのですが、当日は体調を崩されてリモート参加になったためありませんでした。 しかし後日、予定していたボクセルレンダリングの話を動画でアップロードしてくれました。神すぎる。

セミナーの後はチェックイン。 部屋割りはholeさん、Yoshiさん、takashiさんと私の4人。

部屋はとても広くて驚くほどでした。 大きなテーブルがありましたが動かさなくても余裕で4人分の布団が敷ける広さ。 大きな団体でも余裕で合宿できそうな施設です。

荷物を置いたら食堂に移動して夕食。 割と豪華なお弁当という趣の食事が用意されていました。 お寺なので精進料理だそうですが、そうとは感じないようなメニューでした。

夕食の後は入浴を済ませてから夜のセミナーです。 なお資料が公開されていないものは正確なタイトルではなくメモからそれっぽい内容を書いたものです。

Polynomial opticsについてはogakiさんによる補足があり、ArnoldのプラグインLentilが有名で、あとパテントに注意が必要とのこと。
しかしこのくらいセミナーがあるとかなり合宿感ありますね。

セミナーの後は明日の朝は早いとのことですぐに就寝。

翌日の朝は5時に起床でした。 寺アクティビティ1として、まずは朝日を見に行くとのことでお寺の敷地内の高台へ。 展望台のように整備されている場所で、海の向こうを眺める日蓮聖人の像と一緒に日の出を迎えることができます。 水平線が山の上から見えるというのは内陸の山しか行ったことがないので新鮮でした。 本当なら写真を貼りたいところですがこの時スマホを部屋に置いてきてしまったためありません

朝日の後はいわゆる朝のお勤めに参列。 3人のお坊さんによるコーラスが入ったり太鼓が入ったりとなかなか派手なパフォーマンス。 途中で小沢裕樹〜レイトレ合宿〜うんぬんとレイトレ合宿がここでやっているのを報告されているようでした。 若干バージョンが違ったような気もする同様のことを虚空蔵菩薩の祀られた本堂と日蓮聖人の祀られたお堂の2か所で行い、お坊さんからお寺の歴史などの話を聞いて寺アクティビティ1は終了。

一旦部屋に戻って朝食。その後は少し時間が空いていたので、お寺の中を散策。 折角なので朝撮れなかった写真も撮りました。

余談ですがyoshiさんはバグがとれずレンダラーが提出できなかったそうで、せめて本戦前にはちゃんと動かしたいと夜通し格闘していました。

この後には寺アクティビティ2とのことで道場という建物へ。 座禅では、などと話していましたが瞑想体験でした。 日蓮宗禅宗ではないので座禅ではなく瞑想を行うのだそうです。

正座をして体の前で手を重ねて力を抜いて、半眼で1m位前の床を見る感じで、と正座以外は想像するところの座禅と大体同じです。 ただお坊さんが回ってきたりはせず、何かを考え始めてしまったら自分ですぐに打ち切りましょう、という具合でした。 確かにスマホが出てきてからは電車の中でも何も考えずにぼ〜っとする時間も少なくなったかもしれないな、などと考え始めるのを打ち切りつつの瞑想。 なかなか良いものです。

精神をととのえた後は午前のセミナー。

セミナーの後はお昼ご飯を挟んで、ついに本戦です。

とその前にレクリエーションがありました。 1つの部屋に並べられたカード、その数216枚。

並べ方から想像通りの神経衰弱です。

その名もMERL BRDF神経衰弱。

お馴染みMERL BRDF Databeseの100種類+αのマテリアルのシェーダーボールをPBRTでレンダリングした絵柄の54枚のトランプ2組、それを2つ使った神経衰弱です(54 * 2 * 2 = 216)。

これを部屋割りのチームで戦います。
枚数だけで既につらい上に specular-red-phenolic に red-specular-plastic というような見た目で判別が難しいものも多数。 あまりの難易度に一発で合う奇跡でも記憶力で当ててもカードを取るだけで盛り上がる異常な神経衰弱。

最終的にはなんと記憶力で3組を取ったZinさん、Nishikiさん、水鳥さん組が優勝となりました。
そして賞品はMERL BRDFトランプセット。わりと羨ましい。

大いにクソゲー楽しんだ後は本戦です。 各自のレンダリング結果の映像を見て、レンダラーの解説をします。 セミナーもいいですがやはり本戦は一味違った面白さがあります。

全リザルトはホームページをご覧いただくとして、私はこんなものを出しました。(後日レンダリングしなおしたものです)(mp4)

冷静な頭で見るとかなり微妙
レンダリングアルゴリズムに凝る人が多いと踏んで、実装してくる人が少なそうなスケルタルアニメーションとモーションブラーを実装。 しかしFPS設定を間違えるという痛恨のミス。 おまけに後で実行ログをよく見たら64スレッドしか立っていないという驚愕の事実まで発覚。 (ちなみに実行環境は128スレッド)

もうCPUは辛いと思っていましたがもうひと頑張りできる気がしてきました(苦笑

本戦の後は夕食と入浴。 そして最後のセミナーです。

ここで私はライトニングトーク程度の内容ですが、Metalのレイトレーシング事情 2023 という話をしました。 奇しくも直後にiPhone15 ProのA17 Proプロセッサにレイトレアクセラレーターが乗るという発表があり、光の速さで内容が古くなってしまったのでご注意ください🥺
それから西洋哲学とレイトレーシングの話は色々面白かったのですが資料が公開されなくて残念です。

セミナーの後は就寝。

最後の日の朝は4時と昨日より早い起床でした。 まだ暗い中で朝のお勤めに参列。

普段はこの時間なのでしょうか。 昨日と同様に本堂と祖師堂で法要をして終了。

そしてお寺からお札とお供物を頂きました。

お供物はゴマのオコシのようなお菓子でした。 確か護摩にかけたダジャレという話を遠い昔聞いたような気がするのですが軽く検索してもソースに行きつかなかったのでただの与太話だったのかもしれません。

そして今日はお勤めの後で日の出を拝むことになりました。

この日は雲が多めだったこともあって日の出前に面白い空が見られました。 図案化された朝日でお馴染みですが実際に見たのは初めてで、本当にこうなるのかと驚きでした。

ひとしきり朝日を眺めた後は朝食。 その後はお楽しみの結果発表です。

まずは今回新設されたベストプレゼンター賞はShockerさん。 現代のGPUの実行スタイルとレイトレ (2023)は資料が公開されるなりX(旧Twitter)でも反応が多かったので納得の受賞です。

そして本戦の今回の1位はうしおさん。 ボクセルレンダラーで、Alembicと言っていたのでジオメトリキャッシュでしょうか。 前述の通り、うしおさんは体調を崩されてリモート参加だったのですが、合成音声(ずんだもん)でしゃべらせたレンダラー解説を送ってくるという衝撃の演出も印象的でした。

2位はholeさん。ボリュームレンダリングに流体シミュレーションを組み合わせたもので、ChatGPTをフル活用したとのこと。こんなところにもAIの波が来ていました。

3位はyumcyawizさん。総合的な完成度が高い上に、提出課程がドラマティックなのもズルかったですw

私はといえば16位。下から2番目です。 商品としてLEGOのミニフィグのカメラマンをいただきました。

発表の後は帰りのバスの時間まで待ち、電車組は東京駅で解散となりました。

今年は上位常連のShockerさんとOgakiさんがレンダラーを出していなかったのもあり、初参加の人も上位に食い込んできていて面白い結果でした。
それどころか初参加と言いつつ綺麗な絵が出ている人ばかりで危機感を感じるレベルでした。

そんな中でもZinさんがラインレンダラーだったり、水鳥さんが微分可能レンダラーだったりとバラエティも豊富なのもレイトレ合宿らしいところのように思います。

また学生時代以来くらいの座学の多さと施設の雰囲気も相まって、今までで一番合宿らしいレイトレ合宿だったかもしれません。

次はレンズ豆くらいはもらえるように頑張りたいところです。